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『稲盛和夫塾長 理念』その1

独立採算性の導入とアメーバの組織



 今日の京セラの発展を支えてきたのは、京セラフィロソフィとそれをベース

にしてつくられたアメーバ経営であることは間違いありません。これらが車輪

の両輪のように、お互い相まって、京セラを前進させつづけているのです。

 アメーバ経営は、京セラの経営理念とそのフィロソフィの実践を抜きにして

は、決して正常に機能することはありません。京セラの経営理念「全従業員の

物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」

は、京セラがトップのものだけでなく、そこに働く従業員みんなのものである

ということを意味しています。

 会社の経理が秘密のベールの中に隠されているようであれば、いくらアメー

バ経営を採用しても誰も一生懸命働くことはしないはずです。ですから、京セ

ラでは経理内容をすべてオープンにした透明性の高い経営が行われているのです。

 また経営理念と一体となっている京セラフィロソフィでは、「人間として常に

正しいことを追求する」こと、「思いやりの心を持つ」ことなどが、繰り返し

述べられています。

 アメーバ経営では、各アメーバが徹底した独立採算で経営を行い、必死にな

って採算を追求します。しかし、それがエスカレートし「自分さえよければ」

というような利己的な意識が芽生えると、たちまちアメーバ間の利害の対立が

尖鋭化し、アメーバどうしの足の引っ張り合いが始まり、会社はバラバラにな

ってしまいます。ですから、社員全員が京セラフィロソフィをよく理解してい

なければならないのです。

 このようにアメーバ経営とは、京セラフィロソフィを理解したすばらしい人

間性を備えたリーダーやメンバーによって運営され、正々堂々と競い合うこと

によって、また不正や不明朗なことが行われることのない公明正大な「ガラス

張り経営」がなされていることによって、初めて本来の機能を発揮できるのです。


          社史 京セラ心の経営40年−果てしない未来への挑戦−より