TOPICS

稲盛和夫塾長理念その9

フィロソフィは、

血肉化しなければ意味がない




 こうして私がフィロソフィを説いているのも、皆さんに正しい考

え方を持っていただきたいからです。ただし、それを知識として

「知っている」だけでは意味がありません。行動が伴っていなければ

ならないのです。知識として得たものを血肉化する、つまり、自分の

肉体にしみ込ませ、どんな場合でもすぐにその通りの行動が取れるよ

うにならなければいけません。


 すなわち、正しい考え方を「知っている」だけでは、知らないのと

まったく同じことなのです。自らの血肉とし、人生の節々において、

また、日々の業務においてその考え方を生かすことができなければ、

まったく価値はないのです。だからこそ、私は機会あるごとに同じ

ような話をするのです。

 私の話を聞いて、「何回も同じような話を聞いていますが、毎回

聞くたびにリフレッシュする気がします」と言う方もおられますが、

ほとんどの方は「ああ、それは前に聞きました。もう分かっています」

と言うだけで、それを自分のものにしようとしません。

 私の話を血肉化し、自分の思想、理念、哲学にまで高めていなけ

れば、それはまだ自分の「考え方」にはなっていないのです。

たとえ無意識であっても、その考え方で行動できるようにならなけ

ればいけません。

 フィロソフィの内容を何度も反芻し、皆さんの中で血肉化していく

ように努めていただきたいと思います。


                  『京セラフィロソフィ』より