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稲盛和夫塾長経営理念その14

リーダーに求められる「情」と「理」

 西郷(隆盛)は溢れんばかりの「情」に生き、義を貫いて死ぬことを

選びました。しかし、現実という荒波を乗り越えていくためには、「情」

の要素に加えて、冷徹なほどの「理」の部分がどうしても必要になって

きます。

 西郷と幼なじみで維新をともに成し遂げた、大久保利通はまさに、

その「理」の人でした。また、「理」詰めの人であったからこそ、混乱

した状況の中にあって、新政府の中心に位置し、誕生したばかりの国家

の制度や体制などを構築することが可能であったのでしょう。

 人を魅了してやまない素晴らしい心根を持った西郷の「情」の側面と、

合理的かつ緻密に物事を詰めていく大久保利通の「理」の側面、あると

きは情愛に満ち溢れた優しさ、あるときは泣いて馬謖を斬る厳しさ。

「理」に照らして「情」に生きるような両極端を兼ね備えることこそが、

リーダーに求められる条件ではないでしょうか。


                『人生の王道』日経BP社刊 より