企業哲学を全社員と共有する



 時代がどのように変わろうとも人間の本質は変わらない。

必要なことは「人間とは何か」「人生とは如何にあるべきか」

「人間として何が正しいのか」など、人間としてもっとも基本

的な倫理、哲学を真剣に探究することであり、そのなかで自己

の存在意義を確認し、自らの人生の指針としての哲学を確立す

ることである。

 三十七年前、私は何の経営知識もないまま京セラを創業した。

そのような私は、人間として正しい事を追求することをベース

にして経営を始める以外方法はなかった。そこで、私は人生の

本当の意味、経営のあるべき姿を真剣に考え、自分なりの経営

哲学を確立してきた。そして、それを社員と共有する事に今日

まで最大の努力を払い続けている。

 だから、京セラは創業以来大変順調に発展を続けているが、

その理由を問われると私は「企業哲学があり、それを全社員と

共有できているからです」と答えているのである。


       『成功への情熱ーPASSIONー』PHP研究所 刊より

6月6日に、盛和塾<佐賀>第1回フィロソフィ勉強会が

開催されました。

稲盛和夫塾長の講話DVDを視聴をし、「京セラフィロフィ」は

どのようにして生まれたか、また経営のこころについて学ばせて

頂きました。

日曜日の朝からの開催でしたが、20名近くの塾生様が参加され、

熱心に学ばれていました。

原点に戻る事が出来た、また次も是非参加したい等の感想が、

参加者の方から聞かれました。

このフィロフィ勉強会は定期的に開催致します。


人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力




※盛和塾<佐賀>塾生 随時募集中!!


◆お問い合せ

  盛和塾<佐賀>事務局  

  TEL 0952−26−0444

企業文化の重要性


 会社経営において、トップはまず、何のために会社があるのか、

またそのためにはどういう考え方が必要かを明確にし、従業員に示

し、共有していかなければなりません。共有できるかどうかは、そ

れらの経営理念や経営哲学に、従業員が心から共鳴できるかどうか

が鍵となります。経営理念や経営哲学が大義名分にもとづいたもの

であると同時に、従業員の幸福を追求する、社会の発展に貢献する

といった目的を示せば、従業員は心から仕事に打ち込んでくれるよ

うになるはずです。

 また、経営理念や経営哲学を従業員と共有するためには、トップ

の言動、行動が、理念と矛盾しないことが何よりも大事です。

りっぱな理念がありながら、利益至上主義に陥り、不祥事を起こす

企業が後を絶たないのは、トップが矛盾した言動、行動をとってい

るからにほかなりません。

 経営理念や経営哲学は、その企業の風土や文化をつくり出します。

その理念にもとづいて働くことが、会社にとっても、従業員の人生

にとってもすばらしいことだという、そのような企業文化をつくる

ことができれば、会社は飛躍的に伸びていくことができるのです。

   
    日本経済新聞出版社「実学・経営問答 人を生かす」より

独立採算性の導入とアメーバの組織



 今日の京セラの発展を支えてきたのは、京セラフィロソフィとそれをベース

にしてつくられたアメーバ経営であることは間違いありません。これらが車輪

の両輪のように、お互い相まって、京セラを前進させつづけているのです。

 アメーバ経営は、京セラの経営理念とそのフィロソフィの実践を抜きにして

は、決して正常に機能することはありません。京セラの経営理念「全従業員の

物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」

は、京セラがトップのものだけでなく、そこに働く従業員みんなのものである

ということを意味しています。

 会社の経理が秘密のベールの中に隠されているようであれば、いくらアメー

バ経営を採用しても誰も一生懸命働くことはしないはずです。ですから、京セ

ラでは経理内容をすべてオープンにした透明性の高い経営が行われているのです。

 また経営理念と一体となっている京セラフィロソフィでは、「人間として常に

正しいことを追求する」こと、「思いやりの心を持つ」ことなどが、繰り返し

述べられています。

 アメーバ経営では、各アメーバが徹底した独立採算で経営を行い、必死にな

って採算を追求します。しかし、それがエスカレートし「自分さえよければ」

というような利己的な意識が芽生えると、たちまちアメーバ間の利害の対立が

尖鋭化し、アメーバどうしの足の引っ張り合いが始まり、会社はバラバラにな

ってしまいます。ですから、社員全員が京セラフィロソフィをよく理解してい

なければならないのです。

 このようにアメーバ経営とは、京セラフィロソフィを理解したすばらしい人

間性を備えたリーダーやメンバーによって運営され、正々堂々と競い合うこと

によって、また不正や不明朗なことが行われることのない公明正大な「ガラス

張り経営」がなされていることによって、初めて本来の機能を発揮できるのです。


          社史 京セラ心の経営40年−果てしない未来への挑戦−より

思いや行動によって、

人生は常に変化していく




 今までの自分の人生を振り返ると、個人であろうと、会社や国家

であろうと、それぞれ運命というものを持っていると思う。個人の

運命だけでなく、自分が関係する会社や国など、幾多の運命の波が

重なり合い、自分の運命も決まってくる。だが、その運命というの

は、決して固定されたものではない。その人の思いや行動によって、

人生は常に変化していく。仏教では因果応報の法則と呼んでいるが、

善きことを思い、行うならば、それが原因となって、物事は良い方向

へ進んでいくものだ。

 運命が逆境に向かっている時は、いくら善いことをしても、すぐに

善い結果が現れないかもしれない。だが、何十年という長いスパン

で見れば、善きことには、必ず善い報いが訪れる。また、どんなに

幸運に恵まれ、得意絶頂のときでも、常に謙虚な心を忘れてはいけ

ない。傲慢不遜になることは、自ら衰亡の原因をつくることになる。

 波瀾万丈の人生、どんな苦難や逆境に遭遇しようと、恨まず、嘆

かず、腐らず、明るくポジティブに人生を受けとめ、素直に努力をす

ればよい。どんな運命に対しても、感謝の念を持ち、前向きに生き

ていくなら、道は必ず開けていくものだ。