製造機械が異常な音を出していることがあります。

私はそれはたいへん問題であるとし、

よく「機械が泣いている」と現場の者を叱ったものでした。




 製造機械が異常な音を出していることがあります。私はそれはたいへん問題で

あるとし、よく「機械が泣いている」と現場の者を叱ったものでした。

 普通、機械というものは稼働していればみんな音を発しています。ところが、

新品を買って試運転で動かしたときは心地よい音を発していたのに、使っていく

うちに急に大きな音を出すようになったりします。それは機械に異常が発生して

いるからです。それなのに、機械の動きそのものは変わっていないからと、現場

で異音が無視されているケースが多い。私はそれを問題だと思い、現場の社員に

厳しく注意してきました。

 その習慣が身についているせいか、車に乗っているときでさえも、振動音にし

ろエンジン音にしろ、「いつもの音」と違った音がすれば、私は運転手さんに

「おかしいのではないか」と言います。すると運転手さんは、必ずといっていい

くらい、「いや、いつもと違いませんよ」と返事します。こちらが「だって、昨

日までの音と違うじゃないか」と言っても、変わらないと言い張るのです。

 これは、観察をする人間の感度の違いです。感度が違うものですから、運転手

さんは変わらないと言い、私は変わっていると言う。「調べてみろ」と言って修

理工場で調べてもらうと、ベアリングの玉がひとつ掛けているなど、必ずどこか

に異常が認められます。私は、このような感度は、危険を予知するために非常に

大事だと思うのです。

人類が目覚めたとき「利他」の文明が花開く




 私たちが地球という船もろともに沈んでおぼれないためには、もう一度、

必要以上に求めないという自然の節度を取り戻すほかはありません。

神が人間だけに与えた知性を真の叡智とすべく、自らの欲望をコントロール

する術を身につけなくてはならないのです。

 すなわち「足るを知る」心、その生き方の実践が必要になってきます。

いまもっているもので足りる心がなかったら、さらに欲しいと思っているものを

手に入れたところで、けっして満足することはできないはずです。

 これ以上、経済的な富のみを追い求めるのはやめるべきです。国や個人の目標を

物質的な豊かさだけに求めるのではなく、今後はどうすればみんなが心豊かに

暮らしていけるかという方向を模索すべきです。

 それが老子のいう、「足るを知る者は富めり」という「知足」の生き方です。

欲しいものが手に入らないときは、手に入るものを欲しがれという格言もあります。

「満足こそ賢者の石」。知足にこそ人間の安定があるという考え方や生き方を、

私たちは実践していく必要があるのです。

 つまり私欲はほどほどにし、少しくらいのところで満ち足りて、残りは他と

共有するやさしい気持ち。あるいは他に与え、他を満たす思いやりの心。

甘いといわれようが、絵空事といわれようが、私はそのような考え方が必ず日本を

救い、大きくいえば地球を救うと信じています。

   『純粋な心からの情熱』



 強い思い、情熱は成功をもたらします。しかし、それが私利私欲から

生じたものであれば成功は長続きしないでしょう。人間にとって何が

正しいかということに対して鈍感になり、自分だけがよければ良いと

いう方向へ突き進み始めるようになると、はじめは成功をもたらして

くれたその情熱が、やがては失敗の原因にもなるのです。

 理想としては、「私利私欲を捨て、世のため人のために」という形の、

完全に利他的で純粋な願望を持つことが一番良いことです。

しかし、人間にとって、生きるための私利私欲は自己保存のために不可欠

なものですから、それを完全に捨て去ることはまず不可能です。

しかし、一方でその利己的な欲望の肥大化を抑制するために努力すること

が必要となってくるのです。

 せめて、働く目的を、「自分のために」から、「集団のために」へと

変えるべきです。利己から利他へと目的を移すことにより、願望の純粋

さが増すことでしょう。

 私は、純粋な願望を持って苦しみ、悩み抜いている時、その問題の解決

方法が突然見えてくるという経験を何度もしています。

それは、天から与えられたヒントのようなものと、考えています。

 成功というものは、潜在意識に到達する願望の純粋さにかかっているのです。

★一日一日積み重ねる


「自分の歩みがあまりにも遅々として進まない

 場合には、たいていの人は目標への到達を諦めて

 しまいます。

 ところが、私の場合は、目の前の一日しか見てい

 ませんでした。」




 コンパをして、みんなと酒を飲みながら「今に日本一になるぞ」ということを

言っていた。酒を飲むと調子が上がってきて、景気のいいことばかり喋っていま

したが、それはまんざらデタラメでもなく、私自身は本当にそう思っていたので

す。一回や二回なら、みんなも「何を言っているのだ」と思ったでしょうが、毎

回毎回、何十回も聞かされているうちに、従業員も次第にその気になっていくわ

けです。

 しかし、世界一というようなことを押しつけたのでは、現実との差がありすぎ

て、「そんな高い山に登れるわけがない」と思い絶望的になってしまいます。と

ころが、「今日一日を一生懸命にやろう」とだけ言ったものですから、気楽にな

って、あまり先のことは意識しないで一生懸命に働けたわけです。そして、そう

した一日一日の積み重ねが、今日の京セラをつくってきたのです。つまり、目標

を忘れてはいないが、とりあえずその日一日を済ませばいいという気持ちで取り

組めるから、従業員も毎日の仕事を続けられたのです。

 遙かに遠い目標を掲げながら、自分の歩みがあまりにも遅々として進まない場

合には、たいていの人は目標への到達を諦めてしまいます。ところが、私の場合

には、目の前の一日しか見ていませんでした。頑張って働くと、一日はすぐに過

ぎてしまいます。尺取り虫みたいにノロノロとした歩みのようですが、気がつく

と、毎日毎日の歩みが積み重なって、かつては遠かった世界一という目標を達成

していたのです。

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◆内容  ◇一部 講演会 

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         ◇二部 懇親会


◆場所   ホテルニューオータニ佐賀

         佐賀市与賀町1-2


◆会費   6,000円




※お申込、お問い合せは

  盛和塾<佐賀>事務局  TEL 0952−26−0444