リーダーよ、創造的であれ


 リーダーは、常に創造的な心を持っていなければなりません。

部下には常に新しい何かを求め、創造していくという考え方を

植えつけていくべきです。

 それはクリエイティブな考え方を常に集団に導入していかな

ければ、その集団の持続的な進歩、発展は望めないからです。

リーダーが現在の在り方に満足していれば、その集団も現状に

満足してしまい、さらにはいつか退歩さえももたらしてしまう

のです。このようなタイプのリーダーがいるならつい、それは集団

にとってもっとも悲しむべきことです。

 創造というものは、意識を集中し、潜在意識を働かせて、深

く考え続けるという苦しみの中から、ようやく生まれ出るもの

です。決して単なる思いつきや生半可な考えから得られるもの

ではありません。自分の心の中でじっくり考えを練らずに、突

然ひらめきが湧くのをあてにしてはならないのです。

 創造的な心とは、持続した強い願望を追求し続けることなの

です。

 リーダーは、目標を達成するために考え続け、苦しまねばな

りません。のたうち回るような努力の中から新しいものが創造

できるのです。


   「PASSON 成功への情熱」(PHP研究所)より

ささいなことにも気を込める


 正しい判断ができる人は仕事がよくできる人だと言われます。

 正しい判断をするには、どういう状況にあるかということを、

鋭く観察する必要があります。ものごとの核心に触れるまでの、

鋭い観察力がなければならないのです。

 この鋭い観察を生むのは、精神の集中です。しかし、急に精

神を集中しようと思っても、なかなかできるものではありませ

ん。実は集中するということには、習慣性があるのです。ささ

いなことでも、注意を払って行う習慣がある人は、どんな局面

でも集中できるのですが、そういう習慣のない人は、なかなか

精神のフォーカスを絞れないのです。

 忙しいときにこそ、ささいなことにも気を込めて行うという

習慣をつけるべきです。興味がないものでも、努めて意識を向

けるということをすべきです。これを「有意注意」といいます。

 この日常の有意注意が、「いざ」というときの判断力を左右

します。そして、毎日トレーニングされた注意力と洞察力を身

につけ、研ぎ澄まされた神経をもって、正しい判断ができる人

を、切れ者というのです。


     「心を高める、経営を伸ばす」PHP研究所刊より

経営に打ち込む

 真の経営者とは、自分の全知全能、全身全霊をかけて経営

を行っている人のことを言います。

 どんなに素晴らしい経営手法や経営理論、経営哲学を頭で

理解していても、真の経営者になれるわけではありません。

 命をかけるくらいの責任感で毎日を生き、その姿勢をどの

くらいの期間続けてきたかということで、経営者の真価が決

まるのではないかと思います。

 経営に対して、自分の全身全霊をかけて打ち込むというこ

とは、大変過酷なことです。もし、そういう打ち込み方をす

るならば、自分の時間も持てないでしょうし、体力的にも精

神的にも耐えられないような重責が続くでしょう。

 しかし、そういう状態を経験し、乗り越えてこなければ、

真の経営者としての資質は、磨かれないのではなかろうかと

思います。

 世間ではよく、トップとナンバー2との間には、天と地ほ

どの差があると言われます。それは、まさに責任を感じて命

をかけて仕事をしてきたか、それともサラリーマン的な存在

として、判断をトップに委ねてきたかの違いだろうと思いま

す。

          
       
    『心を高める、経営を伸ばす』PHP研究所 刊より

エネルギーを部下に注入する
 

リーダーが情熱を込めて部下にプロジェクトの意味や目標

について話し、彼らの士気を自分と同じレベルにまで高める

ことができれば、成功させることは可能になります。自分の

エネルギーを部下に注ぎ込むのです。これにより、チームの

エネルギー・レベルは、リーダー自身のエネルギー・レベル

よりもさらに高くなるのです。

 もし部下がそのプロジェクトに協力することを簡単に承諾

しただけの場合、成功への可能性はおそらく三割くらいでしょう。

もし部下が「全力を尽くします」と言ってくれたなら、おそらく、

五割くらい成功の可能性があります。しかし、もしリーダーが

自分のエネルギーを部下に注入し、彼らがそのプロジェクトは

自分たちのものであると考えるようになれば、プロジェクトは

九割方成功したといえるでしょう。

 部下がどのくらいプロジェクトに対し情熱を持っているかを

知り、部下が情熱で燃え上がるまで自分のエネルギーを注ぎ込

むこと、これがリーダーとしてもっとも重要な任務です。


            PASSION 成功への情熱より

自利と自他


 事業は「自利・利他」という関係でなければいけません。

 「自利」とは自分の利益、「利他」とは他人の利益です・

つまり「自利・利他」とは、自分が利益を得たいと思ってとる

行動や行為は、同時に他人、相手側の利益にもつながって

いなければならないということです。自分が儲かれば相手も

儲かる、それが真の商いなのです。

 自利、利他の精神がなければ、たとえ短期的には成功する

ことがあっても、長続きはしません。必ず軋轢が起こって

うまくいかなくなってしまうものなのです。

 常に相手にも利益が得られるように考えること、利他の心、

思いやりの心を持って事業を行うことが必要です。